大事な大事なこの局面で
Tagomago甲府店です。
2020年4月。大事なこの局面で、気づいてしまったことがあります。ともすれば昔から気づいていながら、あえて注視することを避け、気づかないふりをしていたのかもしれません。自分の生き方、物の考え方の根幹にも関わることであるからこそ、認めてしまうのが怖かった、そういうことなのでしょう。
それは。
眼鏡受けとはとてもよいものである、ということ。
眼鏡受け、それは数多の性の癖においても比較的ポピュラーな存在ですが、ゆえに身近すぎるためか正直ピンときておらず、自白するとこれまでの人生でほとんど意識したことがありませんでした。しかしここへ来て、若輩者のわたくしも多少大人になれたということなのかなんなのか、眼鏡受けがグイグイ来ているのです。これまでの無反応はなんだったのかと、なんかしらんけどアイデンティティとかなんかそういうもんを喪失してんじゃないのかと不安になるほどに。例えるならそう、何にも変えられないほど大事なのに、なかなか気づけない親の愛、みたいなもの、なのかな……。
そこで今回は最高of最高(つまり最高)(最高)な眼鏡受け作品をピックアップいたしました。
丸木戸マキさん『ポルノグラファー』シリーズ
初手、えちちち表紙でどうもすみません。えちちちで眼鏡受けで年下攻めですいません(^^;)えちちちパーティを止めないで(^^;)(^^;)
ポルノ小説家の先生とばったり出会い怪我を負わせてしまった大学生が、そんな先生の代わりにポルノ作品の代筆バイトをするというお話。眼鏡とはインテリのアイコンですが、それが小説家という確固たる職業と組み合わされたときどうなると思いますか?死人がでます。
そのくらい殺傷能力の高いキャラクターの木島せんせ、どういうわけか常に人妻感および未亡人感をまとっていて、何をどうやって生きていたらそのようなスキルを身につけられるのかまるで分からず、その謎めいた雰囲気がまた怪しげなエロティックを助長するという……つまるところBL界の壇蜜。
木島せんせの「何をどうやって生きているのか」は、続編および過去作「インディゴの気分」を読むことで少し見えてくるのでぜひあわせてお読みください。それから実写ドラマ化もしておりますので自宅で暇をもてあましている方はこの機会にぜひぜひ。ご家族の目が気になる場合は、家族が寝静まったあとこっそり起きて観ることをおすすめします。ギルガメッシュないとを観るときの気分も思い出せます。
鈴丸みんたさん『落花流水のホシ』
まずばちくそに絵がきれい~~~~~!!!!!!!全部のページがA4ポスターに耐えうる~~~!!!!許されるならすべてのページをA4サイズに引き伸ばして壁一面に貼り散らかしてえ~~~!!!そういうストーカー攻めみてえなことしたい……許して……頼む……頼むよ……。
受けの秋人くんは眼鏡・和服・呉服屋の息子・お屋敷に一人住まい・夜な夜な自宅にモブを連れ込む純情ビッチという特盛具合。数え役満かよ……勘弁してください全部好きです。
鈴丸みんた先生の作品は、どの作品のキャラクターも健気でひたむきで読みながら親心をくすぶらせ倒しむせび泣いてしまうのですが、鈴丸みんた先生作品の中でも秋人くんはかなり上位に健気ででも意地っ張りな面や不器用な面もあって、気を抜くと甲府市内全土に広がる声で「好きだ!!!!!」と叫んでしまいます。特に夜、寝ている姿に気づくとあるシーン、本当に本当に好きでA4サイズに引き伸ばしたい………。もしくは名刺サイズにしてラミネートしてパスケースに入れて持ち歩かせてくれ………。
秀良子さん『リンゴに蜂蜜』、『彼のバラ色の人生』
大学の先輩後輩関係を描いたシリーズ。リンゴ→バラの順番で読んでいただければ2人の関係性やなんやかやがわかりやすいかと思いますので、リンゴ→ゴディバ→バラというしりとり方式で覚えてください。チョコレートを挟んだときにしっくりくる順番、それが正規ルート。なぜならチョコレートのように甘い2人だからね…(Forever Love…)
さてこちらのネガティブ眼鏡受けの夏樹さん、とにかく随所で後ろ向きなのですがその石橋を叩きすぎてぶち割って「これだから俺は…」となりそうな雰囲気、全日本守ってあげたい属性モンドセレクション金賞受賞おめでとうございます。初読の際、あまりにたまらなすぎてときめきの供給過多からどういう仕組みなのか酸欠を引き起こし座っていられなくなったので途中で一旦休憩を挟みました。薄汚い天井を見上げながら「これは金賞だ……」と呟きました。
そんな夏樹さんのピピちゃんは、夏樹さんにとって「宇宙人」な陽キャ属性のコマノくん。爽やかながらときどき見え隠れする執着心のバケモノでは???という気配、非常にわくわくします。オラわくわくすっぞ……。イエローベースで眼鏡受けに萌えている孫悟空がわくわくすっぞ!
特に「リンゴ~……」の方に収録されている海の短編は、コマノくんのかわいさがはちきれんばかりに詰め込まれつつ、この世で一番美しい海の描写によって爽やかにまとめられている最高に味わい深い一作です。ぜひ爽やかなAOR等々をたしなみつつ読んでもらいたいです。
おげれつたなかさん『エスケープジャーニー』
眼鏡といえばインテリのアイコン、と言ったな。あれは嘘だ。もちろん眼鏡インテリも大大大好きだ、しかしここに召還せし、常識を打ち破るパリピ眼鏡受けの直人くん。チャラ眼鏡の扉を今強引に開かせてしまう、すさまじい力の持ち主。
攻めの太一くんも、爽やか好青年な面と同時にどうしようもなくこじらせた部分も持ち合わせているいい意味で人間臭い、最高に愛おしいキャラクター。
帯の通り、ウェイウェイ大学生のピッピロピーストーリーかと思いきや内容はすこぶる真面目でひたすら泣かされます。 同先生の「ヤリチン★ビッチ部」のテンションを期待して読み始めると温度差で風邪を引く可能性があるので、「はだける怪物」あたりでかけ湯をしてから読むことをおすすめします。
そして今作の推しポイントの一つに「女子がかわいい」があります。男性しかいない世界ではなく、きちんと女子も存在し描かれる良作は本当にまじまじで良作だ~~と思っているのですが、女子を添え物もしくはスパイスのように扱うのではなく一人のキャラクターとしてきちんと厚みを持って描き、かつ彼女たちもメインキャラクターとともに作品の中で変化していくのでもうっっ全員好きっっ!!なんかしてあげたくなっちゃう!!!よかったらおばちゃんの手作りクッキー食べてっっっ!!!ネッッ!!!
ということでおすすめの眼鏡受け商業BLレビューでした。お粗末様で御座いました。