Book Lounge Tagomago甲府店

Tagomago甲府店◆甲府市朝気のブックラウンジです♡ 詳細はTwitter@tagomago_kofu もしくは http://tagomago-kofu.fem.jp/♡

新刊の取り扱いについて

TAGOMAGO甲府店です!

 

当店では、コミック・文庫の新刊もしっかり揃えております。

基本的には、店主が「これは!」と感じている作家・シリーズの新刊をどんどん取り入れていく予定ですが、「この作品置かないの?」というおすすめがあれば教えていただけたらうれしいです。

お客様のご意見は積極的に参考にさせていただきます!

 

さて本日2月25日発売された新刊作品と言えば……onBLUEコミックのためこう先生「泥中の蓮」

 

ためこう先生の単行本一冊目(デビューコミックス)にして、「早くも2016年ベストヒット登場したのでは……??」と本を持ったままわなわなしてしまうレベルの名作です。

 

両親を失った兄弟が、世間からはみ出ながらたくましくしたたかに生きていくストーリーは、品方向性な弟の視点から語られていきます。

学校でも一目置かれる優秀な弟と対象的に、兄は「ふつうに働くよりもラク」というむっちゃキャッチーなノリでウリをやるというクズビッチ。

しかも弟と二人暮らしの自宅に客を呼んで行為に勤しみ、「あ~帰ってきちゃった~学校早く終わるなら言ってよ~」というゆるゆるっぷりのどうしようもないキャラクターです。

 

「いくらアッチが締まってても脳みそゆるゆるなのはよくないゾ~?」と読者もモブおじ思考でハッスルハッスル読み進めていくわけですが、ちょっぴり歪んだオーバードライブ系エロ漫画かと思っていると、後半はあれ、あれ、あれ……とぞぞぞっとしてしまう展開。幽霊だとか殺人だとかの要素はありませんが、それでもちょっとしたホラー漫画より怖いのではないかな、と思います。

 

男性向けのエロと女性向けのエロでは精神依存の比重が違うとはよく言われることですが、ためこうさんの作品は特に顕著でないかと思います。

コミックス未収録ですが、アンソロジー「女子BL」や「ロックアップボーイ」に寄稿していたためこうさんの短編を見ても、表面に描かれているのは直接的な性描写であり、たとえページの大半をエロに費やしていたとしても、そこに描かれているのは精神の話のみなのではないかと感じています。

 

ためこうさんの描くキャラクターは他者依存の傾向が強く、延長線上の行為としてセックスもするのですが、肉体のつながりは彼らにとって結論にはなりません。

「セックスしたからこいつはもう俺のもんだぜぇ」「処女うばったったぜぇ」系の思考は、みんなハナから持っていないのだと思う。今作の兄弟・秋生も元春も、俗や欲や肉体に蝕まれない自己実現の一貫に、たまたまセックスがあっただけ、というようなある種の潔癖さが見えます。

誰かが誰かに依存してセックスをするという内容でしかないのに、むちゃくちゃ高次元な話のように感じてしまう。

 

ためこう先生、デビューコミックスにしてこのクオリティ、期待しかできません!!

ぜひお手にとってください!